敗者のゲーム
■投資の教科書
「敗者のゲーム<原著第6版> チャールズ・エリス (著), 鹿毛 雄二 (翻訳) 」を読みました。
インデックス投資家の教科書のような本です。
1985年の初版以来、全米で100万部を越えて読み継がれている本だそうです。。
私のようなインデックス投資の信奉者にとっては、投資の教科書といえます。
内容も分かりやすく、長い間読み継がれていることも理解できます。
私の子供にも大学生ぐらいになったら、読ませたいと思います。
■内容の充実度
内容はすばらしいです。
盛りだくさんの情報というよりは、限定された主張を、言い方をかえて何度も繰り返して教えていただけます。
正直いうと、すでにどこかで読んだことのある内容が大部分ではありました。
(もしかしたら私はこの本を以前に読んでいて、読んだことを忘れてしまっているのかもしれません ;^_^)
しかし、自分の知識、理解が間違っていなかったと再確認できて、うれしい気分で読めました。
自分の知識、状況により読み取れることも違うでしょうし、数年に1回、あと5回ぐらいは読み返そうと思いました。
下記にたくさんの文章を引用させていただき、今後はくりかえし当ブログで再度引用するのに備えようと思います。
私の意見として述べるよりは、敗者のゲームから引用した方が説得力がありますからね(^-^)
■タイトルの敗者のゲームとは
「敗者のゲーム」とは機関投資家がアクティブ運用しても勝てなくなったという現代の投資というゲームのことを指します。
機関投資家が市場のメインプレイヤーなので、取引手数料をかける機関投資家は、市場の平均≒機関投資家の平均 に勝てないという主張です。
ましてや、個人投資家がアクティブに取引しても勝てません。
インデックス投資が一番合理的ということです。
"ニューヨーク株式市場における取引の75%は、トップ100社の機関投資家によって行われている。現実問題として、個人投資家の取引のほとんどは、大機関投資家には及ばない。このトップ100社に勝つのは至難の業だ。とすれば、最も有能な個人投資家でも、実績は最下位に近いだろう。"
"ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高の95%以上は機関投資家によるものだ。さらに言えば、NYSEの売買高の75%は上位100社の機関投資家によるものであり、50%は上位50社によるものなのだ。"
"2%の年間超過収益率でさえ、偶然でなく、優れた運用によるものであることを結論づけるには、70年間にわたる観察が必要である"
"任意のどの12ヶ月をとっても、全体のほぼ6割の投信は市場に負けている。10年で見ると、この比率は7割に、そして20年では全体の8割が負けている。さらに市場に負けている投信の負け幅は平均して勝っている投信の勝ち幅のほぼ2倍だ。"
"市販されている投資関係の書籍のほとんどは、個人投資家がプロの投資家に勝てるという、とんでもない幻想を売っている。"
■株の割合をどうするか
10年以上運用する資産は全て株がいいとの主張です。
例え高齢者であっても、相続することにあろう財産の運用期間は10年以上に該当します。
私のポートフィリオは債券の割合が低い非教科書的な状況なのですが、少し安心できました。
そうはいっても株を100%にするというのも不安です。
地球の歴史が新たな段階に入るかもしれませんから。
ポートフィリオについては、後日別のエントリーで書こうと思います。
"株式・債券比率は、5年の場合は60対40、10年では80:20、15年の時は90対10が標準とされている。"
"10年以上運用する資産はすべて株式に投資する。2,3年以内の運用資産は「現金」ないしマネーマーケット資産に投資する。"
"コモディティ取引は、投機にすぎない。経済的付加価値を生まない以上、投資とは言えない"
資本主義の終焉←以前、私が書いたエントリー
■機会損失に注意
私は本業で得た収入がいつの間にやら通帳にたまっています。
日本円キャッシュのポジションが増えてしまっているのです。
以前から気にはなっていましたが、面倒くさいので、ついつい後回しになります。
特に海外の証券会社への送金を面倒くさく感じます。
反省しようと思いました。
"マーケットリスクを回避すれば得べかりし利益を逃すという意味で、それなりの「機会費用」がかかる"
"1980年~2008年の間でベストの何日かを逃した場合のリターンへの影響。S&P500の年収益率は11.1%。ベスト10日を逃すと8.6%。ベスト20日を逃すと6.9%。ベスト30日を逃すと5.5%。"
"投資先を国内に限定するということは、自国が他国より有利というアクティブな判断の結果なのだ。"
"税金とインフレが、恐るべき「金融市場の海賊」と呼ばれる"
"用心深くなりすぎるのもよくない。文字通りの「保守的な」運用に移行したりすれば、インフレの影響をもろに受けることになる。"
■投資哲学
投資における大枠を考えるように教えてくれています。
個別銘柄の選択より前に、アセットアロケーションに注力せよというのは、良書ではよく書かれている意見です。
しかしアセットアロケーションより前に考えることがあると述べられています。
納得できる意見です。
1年に1回ぐらいはこのような時間を設けようと思います。
"人はそれぞれ、次の面において違う。資産規模、収入、時間軸、果たすべき責任、リスク許容度、遺産の有無、社会貢献への関心"
"高齢者がさらに長く生きていくことはないにしても、相続、贈与資産としての投資そのものはきわめて長期の目的を持ちうる"
■マネーゲームと人生ゲーム
マネーゲームの勝者になれば、すなわち人生において不足しない資産を形成できれば、リスク負って投資すべきではないということが書かれています。
ただ、人生において不足しない資金の設定が難しいですね。
自分と妻の老後がまかなえればいいのか、子供に遺産を残すべきなのか、はたまた世界中とはいわなくても、親族全員の生活を支える資産を目指すべきなのか。
マネーゲームの勝者と人生ゲームの勝者は異なることも多いでしょう。
資産が形成できたあとに、資産をリスクにさらしてでも、社会的な事業をたちあげ、自分自身の人生に納得したいと思うのは合理的な考えと思います。
"私の関心は、市場に勝とうとして虚しい努力を続ける「敗者のゲーム」から、長期資産配分と運用基本政策の確立・堅持という「勝者のゲーム」へと移っていった。"
"一度マネーゲームに勝利したら、さらに大勝を狙って勝負に出てはならない"
"引退後はとにかく安全第一だ。毎年の支出額を資産の3年移動平均の4%以下に抑えることだ。"
(2015/06/12)
June 12th, 2015