■前編のまとめ

国民年金基金は利用すべきではない。国民年金基金は不利な制度であるばかりか、確定拠出年金(DC)の利用可能枠が減ってしまう。

(中編)では確定拠出年金(DC)がいかに有利か検討してみようと思います。


■確定拠出年金(DC)はトリプルでお得

非常にお得な制度なので、私はこの制度を理解した時にうれしかったです。

トリプルでお得です。

【お得①】掛け金が控除の対象になる

これは高所得者ほどお得です。低所得者や専業主婦で、所得税、住民税を支払っておられない方はこのメリットは享受できません。

【お得②】運用で得られる利子、配当、売買益が非課税になる

これは非常に大きいです。

【お得③】受け取るときも有利

一時金としてまとめて受け取ると「退職所得控除」が適用され、税制上有利。一時金から勤続年数に応じて決まる退職者特別控除額を差し引いた金額を2分の1にした「退職所得」に対して課税される。「退職所得」は、その年の所得と合算しなくてもいいので、さらに有利。

年金形式で何年かにわたって受け取ると、「公的年金等控除」が適用され、こちらも有利。

一部を一時金として受け取り、残りを年金方式で受け取ることも可能。


■いくらぐらい得になるかシュミレーションしてみましょう

SBI証券の「節税メリット試算」を利用してみます。

シュミレーション1)平均的な日本人
現在の年齢44歳、課税所得700万円、毎月の掛け金68000円、予想利回り5%
→【お得①】5581440円 【お得②】1495696円 【お得③】ケースバイケース
平均的な日本人でもお得①+お得②で708万円お得です。

シュミレーション2)高収入の人
現在の年齢44歳、課税所得2500万円、毎月の掛け金68000円、予想利回り5%
→【お得①】9302400円 【お得②】1495696円 【お得③】ケースバイケース
高収入の場合、お得①+お得②で1080万円お得です。年収が2500万円以上になってもお得な金額は同額です。

シュミレーション3)高収入だが、運用が苦手な人
現在の年齢44歳、課税所得2500万円、毎月の掛け金68000円、予想利回り1%
→【お得①】7082880円 【お得②】213036円 【お得③】ケースバイケース
たとえ運用が下手でもお得①+お得②で730万円お得です。

シュミレーション4)低収入かつ運用が苦手な人
現在の年齢44歳、課税所得200万円、毎月の掛け金68000円、予想利回り0%
→【お得①】3672000円 【お得②】0円 【お得③】ケースバイケース
低所得かつ運用がうまくいかないという悲惨なケースでも、367万円お得なようです。
低収入だと毎月68000円もの掛け金はむずかしいかもしれませんが、老後が視野に入ってきて貯金が十分になければ、できるだけ多くの掛け金にすべきです。

いずれにしろ、ずいぶんとお得な制度です。


■確定拠出年金(DC)の弱点、適さない人はいるか

上記のように確定拠出年金(DC)は非常に有利な制度です。最大の弱点は60歳まで引き出せないという点です。

私は44歳で、60歳というのは遠い将来の話ではありません。

ですが、20歳の方にとっては60歳も、80歳、100歳も現実感のない未来の話でしょう。仕事もどうなっているか分からないでしょうし、結婚も子供も住宅ローンもどうなっているか分からないでしょう。

日本人は子育てが終わるまではキャッシュフローがマイナスで、子育て、住宅ローンが終わってから、老後の資産を貯めるというパターンが典型的と思います。

キャッシュフローがプラスになってから、可能な限り確定拠出年金(DC)を利用するのがいいと思います。さらに余裕があればNISA。さらに余裕があれば、普通の投資がいいと思います。

(2015/09/18)