■私は専門家ではありません

友人にどのように投資したらいいか聞かれることがあります。私が投資の専門家ではないことは友人はもちろん知っています。ですが素人の意見の方が気軽に聞けますし、素人の意見の方が役立つこともあるので聞いてくるのでしょう。あつかかましい言い方ですが、金融機関(銀行や証券会社)でプロに相談するよりも、私にきいていただいた方が結果はよくなると私は思っています。

もちろんプロは知識経験が豊富でしょうが、立場上いいにくいことも多いはずです。たいていの場合、金融機関が儲かる商品は、顧客にとって不利な商品だからです。ですので必ずしも顧客の立場にたった商品選びを手助けはしてくれません。

ただ日本でも中立的な立場で商品選びを手伝ってくれるプロ(独立ファイナンシャルアドバイザー:IFA)も少しずつは増えてきてはいるようです。


■投資をしないという選択肢はない

実は投資をしていない人はいません。「全財産 タンス預金だよ」という人もいるでしょう。これはすでに日本円に投資しているということになります。数ある投資対象のなかのキャッシュ、多くの通貨の中から日本円を選んで投資していることになります。

日本円キャッシュの先行きが開けていると考えていたとしても、全財産を日本円キャッシュにしておくというのはリスクが高すぎるでしょう。

さらに、たいていの日本人は、日本で働いて、日本円で給料を得ています。海外で職を求めた場合、日本で稼ぐよりも目減りする人が大半でしょう。ということは、今から退職するまでに稼ぐ力(人的資本といいます)も日本円にかたよっていることになります。

極端に日本円に偏った投資ポジションから脱するべきだと思いますし、私自身もそのことを主目的に投資をはじめました。


■まずは証券会社に口座を開きましょう

投資に限らず、人間の能力は知識と経験が両輪となり向上します。

ですのでまずは証券会社に口座を開きましょう。口座開設も口座維持も日本のネット証券では無料です。そして少額の投資をはじめて経験を積むのです。例えば数社の株を勉強のため少額(10万円以下)買ってみるのです。銘柄は少額なので、きまぐれでいいでしょう。好きな会社でもいいでしょうし、これから伸びそうな会社でもいいでしょうし、株主優待が魅力的な会社でもいいでしょう。日々どれくらい値動きがあるのか、日経平均とどれくらい相関するのか、配当や株主優待はどこのように受け取れるか などを体感することができます。

口座を開くのはSBI証券、楽天証券、マネックス証券などネット証券大手ならどこでもいいと思います。大差ありません。ネット証券というのはインターネット取引主体の証券会社です。旧来の営業マンを経て取引する総合証券は絶対避けるべきです。総合証券の売買手数料は、けた違いに高いです。営業マンの人件費がかかるのですから、仕方ないでしょう。さらに総合証券の一番の問題は、営業マンとやりとりしないといけないということです。営業マンが売り込んでくる商品は、証券会社が儲かる商品、すなわち顧客が損をする商品なのです。

そんな話はいいから、「手っ取り早くどこに口座を開けばいいか教えろよ~」というのが私の友人たちの意見だと思います。

というわけで、独断というか、例示として一例を書きます。

・SBI証券…SBI証券の中でも種々の口座があるのですが、NISA、FX、外国株式の口座も開設しましょう。未成年でも口座開設できます。口座は一般口座ではなく「特定口座」がいいでしょう。税理士さんに税務関係をお願いしている人、複数の証券会社を利用する人は「源泉徴収なし」、SBI証券でのみ取引をする人は手間が省ける「源泉徴収あり」がいいでしょう。配当金はSBI証券の口座に自動的に振り込まれるようにしておくのが便利です。

・住信SBIネット銀行…ネット銀行です。SBI証券と一体化して資金を運用できます。便利なのでこちらの口座も開設しましょう。未成年は口座開設できません。

■どこで勉強するか~本を1冊~

私は投資の結果を出すためというよりは、趣味として投資の本をよく読みます。まずは下記の本を読まれることをおすすめします。読み物としても面白いです。

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ 単行本 – 2014/9/26 橘玲 1728円

さらに勉強されたい方は、山崎元さんが書かれた多数の著書の中なら選択されるといいと思います。入門者向けからプロ向けまで多数執筆されています。山崎元氏は知識、経験、伝える力とも申し分ないですし、投資家の立場にたち正確で誠実な情報を発信されています。


■①iDeco、②NISA or つみたてNISA、③普通に購入

資産運用するにあたって上記の制度を使いましょう。

まずは老後まで使わないですむ資産はiDECOを最大限活用しましょう。非常にお得な制度です。欠点としては、老後まで使わない予定が変更になり使いたくなってもつかえないということぐらいです。

まだ資金に余裕があるならNSIAまたはつみたてNISAです。いずれも普通に投資するより損をする可能性があることはあるのですが(運用成績がマイナスになったときにNISA外の運用と損益通算ができないため)、得を可能性の方が高いです。

さらに資産に余裕があると普通に金融商品を買えばいいでしょう。


■いよいよインデックス投資へ

どういった金融商品を買うかですが、私はインデックス投資をおすすめします。それでプロ中のプロには勝てないかもしれませんが、普通にプロ以上の運用成績を得られます。

本当にインデックス投資でいいのかと疑念をお持ちの方は、わたしのインデックス(http://myindex.jp/study/)というサイトの投資の勉強というページなどを読んでみて下さい。「ウォール街のランダム・ウォーカー」「敗者のゲーム」といったすばらしい本もあります。

インデックス投資は投資信託でもETFでもどちらでもいいでしょう。重要なのは運用手数料が低いものを選ぶことです。

手数料の次に重要なのは純資産総額です。売買できなかったり、会社が運用を中止されても困るので、今後も運用をし続けてくれそうなファンドを選ぶといいでしょう。

手数料が低いファンドの調べ方ですが、個別に調べていってもいいのですが、いまの時代ですから調べてまとめてネット上で公開してくださっている方がいます。

下記のようなキーワードでGoogle検索してみてください
「SMT eMAXIS ニッセイ 信託報酬 比較」

そして好みの商品を購入してください。てっとりばやく1つ教えろよーというご意見もあるかと思います。あえてひとつ選ぶとすると、eMAXIS全世界株式(信託報酬0.142%)でしょうか。
信託報酬は一昔前より非常に安くなってきていて、このレベルまで下がれば十分だと思います。さらに安い商品が出てきても買い換えるほどの差もないでしょう。

手数料には購入時と売却時にかかる手数料と毎年かかる手数料があります。eMAXIS slimはノーロードファンドといって、購入時と売却時の手数料は無料です。ですので、気軽に10万円分購入したり、売却できます。

日本株はインデックス投資ではなく、個別銘柄でもいいとも思います。下記のような理由からです。
・どの企業が有望か考えての銘柄選びが楽しい
・株主優待を楽しめる
・10~20銘柄を購入しての値動きは、インデックスと大差なくなる(薬品会社の株ばっかり購入するといったことはよくありません)
・インデックス投資といえども多少の管理費はかかるのを節約できる


■アセットアロケーション(資産配分)

どのような金融商品を、どのようなバランスで購入するのかは非常に重要です。アセットアロケーション(資産配分)といいます。わたしのインデックス(http://myindex.jp/study/)の「資産配分ツール」をつかって自分好みのアセットアロケーションをしましょう。

アセットアロケーションの重要性についてさらに調べられたければ、「現代ポートフォリオ理論」という用語で検索してみてください。数学的に完璧なアセットアロケーションを目指されるなら「効率的フロンティア」という用語で検索してみてください。ただアセットアロケーションを計算する因子が過去の一定期間の値動きに頼らざるをえず、今後も通用するかどうかは分かりませんのであまり厳密に考える必要はありません。



(2015/03/26)(2015/04/16追記)(2018/10/27加筆)